忙しいオフィスワーカーを、
健康の危機から救い出せ。

『フリップフラップチェア』開発プロジェクト

世界中のプロダクトデザイン賞を受賞した『フリップフラップチェア』は業界内外で大きな話題となり、2016年の伊勢志摩サミットでも各国首脳がこのイスに腰をかけた。そして、「フリップフラップチェアのコンセプトを、メッシュで実現したらどうなるか?」という開発者の好奇心から2018年に生まれたのが『セクアチェア』。開発者たちの想いに迫る。

これは、働く現代人へのメッセージ

同じ姿勢をとり続けると、代謝機能や血流に悪影響をおよぼし深刻な病にもつながる。デスクワークに従事する人が増える現代、“同じ姿勢で座り続ける”という行為が多くの人の健康を脅かしている。
この大問題に一つの解決策を提示したのが、折り紙の発想をイスに取り入れた『フリップフラップチェア』。
折り目のついた背もたれが身体の動きにしなやかに追従、集中したいときの姿勢、リラックスしたいときの姿勢と、座る人の様々な動きに柔軟に寄り添うイスだ。

開発に携わった橋本はこう話す。
「働き方にしろ、暮らし方にしろ、どれだけ“今”を前に進められるか。そんな発想が企画の仕事の根幹にはあります。今回も、大きく背伸びをしてもしっかり身体を支えてくれる、様々な姿勢に呼応してくれるという機能を実現することで、現代人が抱える問題を解決できるはずと考えました」。

橋本はこうも話す。
「アイデアを出すことは決して難しいことではないんです。“こんなイスがあったらいい”という発想は、誰もが思い描けます。問題は、どう実現するかです。どんな素材や構造なら生産ラインに載せられるか、コストを抑えられるか、そして、機能を損なわずに多くの人が欲しがるかっこよく美しいものに仕上げられるか。そこが勝負であり、戦いです」。

アイデアを生み出すだけは素人。 実現まで食らいつくのがプロ

『フリップフラップチェア』開発プロジェクトが本格稼働したのが2015年。発売までこぎつけるのに1年半がかかった。その間、何度、設計図を書き換えたかわからない。何体ものプロトタイプモデルがつくられては、社内外でのモニター調査を経て無数の改善が加えられた。今までにないカタチのイス。量産に向けた製造段階でも課題は山積みだった。強度としなやかさを両立する“折り目”をどうつくるか、ウレタンの型抜きはどうするか、支柱と座面を何でつなぐか・・・。一つひとつが、誰もやったことのない技術・製造方法への挑戦だった。挑戦の末に編み出したイノベーションの集合体。それが『フリップフラップチェア』だった。

発売以降、業界内外で大きな話題となり「iFデザイン賞2017 金賞」、「レッドドット・デザイン賞2017」など世界中のプロダクトデザイン賞を受賞した。設計を担当した和田は完成時のことを振り返る。「当初の企画段階から、大きなチャレンジだということは明白でしたが、仕上がりはその想定以上のものになりました。伊勢志摩サミットでも使われ、世界中にその存在感を示すことができ誇らしくもなりました」。

“今”を前に進めるため、挑み続ける

「内外に話題を振りまいた『フリップフラップチェア』。これをメッシュ素材でつくったら、また違う効果が期待できるのではないか」。そんな好奇心を橋本は抱いた。しかし「『フリップフラップチェア』以上に製造は困難だな」とも感じた。実際、素材がメッシュになったというだけで、まったく異なる構造・設計のイスになる。再び、ゼロからの試行錯誤が始まるのは明らかだった。しかし、開発チームの士気は落ちなかった。むしろ高揚した。
「『フリップフラップチェア』をつくっているとき、本当に面白かったんです」と語る橋本。企画担当として『セクアチェア』から開発に参加した岡本もこう続ける。「今まで誰もやっていなかったこと、世界中を探してもないものをつくるという仕事はすごく楽しいですよ。それにイトーキの製品には“らしさ”があると思っています。それは、どんな製品にも必ず、新しいアイデアやチャレンジが込められていること。それはDNAのようなものなんです」。

2018年1月、発売。
困難をも楽しむ開発チームが、『セクアチェア』を具現化した。

橋本は未来に思いを馳せる。「『フリップフラップチェア』で海外の賞も数々いただき、『セクアチェア』でシリーズ化できた。世界中にイトーキ製品を訴求するまた新たな道筋をつくれたと思っています。仲間とつくったイスが、どの国へ行っても見ることができ、世界中の人たちの生活の一部になっている。そんな未来をつくっていきたいですね」。
イトーキの開発者たちは今日も、働く人のより良い明日を考え続ける。

※所属部署・役職は取材当時のものとなります