5Gで働き方はどう変わるのか?

2020年代に普及が期待されている次世代通信規格、第5世代移動通信システム(以下、5G)。現在の4Gに比べて、通信速度は20倍、同時接続数は10倍でコミュニケーションのあり方そのものが変わると言われています。働き方への影響をイトーキを含む6社の実証実験をもとに予測してみました。

5Gが「ソロワーク環境」をサポート

5Gは2020年代に普及が期待される次世代通信規格です。現在の4Gに比べて、なんと通信速度は20倍、遅延は10分の1、同時接続数は10倍。4Gではダウンロードに10秒かかるアプリや動画も、わずか1秒で完了する計算です。これによって、自動運転、4K・8K映像の視聴、遠隔手術などの「近未来」がより現実に近づくともいわれます。

5Gの普及でオフィスや働き方はどう変化するでしょうか。いまや定番化した「フリーアドレス」は、普段接することのない社員同士の出会いやコミュニケーションを生み、組織の活性化などに貢献してきました。イトーキは今後、働き方改革が推進すると、より個々のワーカーの活動に沿ったワークプレイスが必要になると考え、「ソロワーク」など個別ニーズに合わせた機器やスペースを開発してきました。無線LANでの多数同時接続通信などの実証実験をしたのが、ソリューション開発を行う川村正太郎です。

「オフィスワーカーが集中して仕事をするには、視線や音を適度に遮断する”集中ブース”のような環境があると望ましいですが、電波の遮蔽が課題となる場合があります。が、ソロワーク用の天板にLANSheet Lightを内蔵することで、使いやすさと無線通信環境を両立させることができました」

さまざまなIoT機器が通信を行う5Gネットワーク環境下においても、ワーカーがストレスなく作業できることが実証できました。

ホログラムを使った”超臨場感会議”も実現

また昨今のオフィスではリモートワークも推進されており、以前より非対面型のコミュニケーションが増しています。リモート会議はその代表例ですが、表情や態度などの非言語情報が少なく、遠隔参加者の存在が薄くなるという課題も見られます。5Gの普及はこのような非対面コミュニケーションも促進するのでしょうか。

イトーキは、会議室に遠隔参加者のホログラムを投影するなど、MR(Mixed Reality=複合現実)を活用した3D遠隔会議システムを研究しています。その先にあるのは「超臨場感会議」。実証実験では、MRを応用した臨場感のある会議システムの環境を構築し、東広島市役所様内の会議で課題を抽出しました。

会議室と遠隔地を高速通信接続し、3D映像(センサーで取得した点群データからの立体投影)による会議を開催。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着すると、相手がその場にいるかのような感覚で会議に参加できる。

先の川村は5Gによって会議は変化すると考えています。

「MRを応用した臨場感のある会議システムが構築できたら、遠隔地から会議に参加するワーカーの存在感を向上させることができ、円滑なコミュニケーションを形成できると考えます。またこのような会議は、MRの技術だけでなく、8Kの高精細映像やマルチモニタによる多拠点表示・資料共有によって実現すると考えます。それにも超高速・多数同時接続の特徴をもつ5Gは寄与します」

これらの実現でワーカーは場所の足枷を外し、より自在な働き方ができるようになります。対面と非対面、リアルと非リアルに境界がなくなれば、移動時やサテライトでの業務が活発になり、効率性とモチベーションを両立した働き方が実現するかもしれません。

5Gをフレキシブルに活用し、”働く”をデザイン

一方で、5Gはマルチな存在ではないことも理解しておかねばなりません。月1回程度の比較的頻度の低くデータ容量も小さいIoTデバイスが今後増えていくと、むしろ広域・低消費電力・小データ通信が必要なシーンも出てきます。オフィスにおいてもより重要なシーンで超高速・超低遅延の通信環境を使うなど、用途によった使い分けが必要です。

5Gの普及を見据え、川村はより多様な働き方を提案したいと考えます。

「自らの能力を最大限に発揮するために、自ら”働く”をデザインする働き方を提案したいと思います。仕事の内容に合わせて、例えば集中したい場面では静かな場所を選び、打合せをしたいときはソファ席を選ぶ。アイデアを練るときは外へ出てカフェでコーヒーを飲みながらでも良いかもしれません。そんなワークスタイルやワークプレイスが多様化したとき、フレキシブル且つアドホックな通信環境として5Gが活躍していくものと考えています」

※本記事は2020年2月に作成されたものです。