ニューノーマル時代のリモートワークとコミュニケーション

ニューノーマル時代のリモートワークとコミュニケーション
海外の働き方を紹介するシリーズ企画「Work Style Wonders」第4回目。
シリコンバレーのテレプレゼンスロボット技術開発の新興企業OhmniLabs社。メンバーはベトナム、カナダ、アメリカ、中国などに分散し、チームとして活動している、CEO Thuc氏にコロナ禍における働き方、そしてワークスタイルの今後についてお話をいただきました。


上記写真:OhmniLabs(オムニラボ)社の創業者左から、Tingxi Tan (CPO), Thuc Vu (CEO) 、Jared Go (CTO)

オムニラボ社について、またThucさんの日々の仕事について教えて下さい。

オムニラボ社は2015年に共同創業者のJared GoとTingxi Tanと一緒に始めたロボティクスの会社です。私たちの目標は、エンドツーエンドのロボティクスソリューションにより、従来のロボティクス開発を革新的なものにすることです。本社はシリコンバレーにありますが、ベトナム、カナダ、中国、アメリカ各地にメンバーがいる分散型チームとして活動しています。

日々の活動の中で、私がCEOとして取り組んでいることは、大きく分けて3つあります。

1.資金、人材、事業パートナーなど、会社に必要なリソース(資源)を見つけること。
2.資源をさまざまなプロジェクトに配分し、指示すること。
3.プロジェクトの成果を検証し、修正すべきことや繰り返し行うべきものを決定すること。

そのため、あるときは、投資家と面会し、そしてあるときは全社的な業績目標を設定し、また、将来の社員と面接したり、パートナーと新しいビジネスチャンスを発掘したりします。

新型コロナウィルス感染症の流行によって、働き方は変わりましたか?

幸いなことに、コロナ禍でも仕事のやり方をあまり変える必要はありませんでした。カリフォルニアの政府によるシャットダウンの要請のあった期間でも、私たちは必要不可欠なビジネスとして、製造施設をオープンにしておくことができました。私たちのチームメンバーの約半数は、コロナ流行前からリモートで仕事をしているので、働き方を変える必要はありませんでした。

とは言うものの、コロナの影響で離れた場所からでも操作や移動が可能なオームニロボット(小型ディスプレイ、カメラ、スピーカーを備えた、テレプレゼンスロボット)の需要が大幅に増加しているため、ヘルスケア、シニアケア、教育、企業向けの注文が非常に多くなっています。

出張制限、隔離、非接触なオペレーションが必要な状況下で、企業のクライアントは、そのような場所でも物理的な存在感を持たせるために、当社のロボットを利用しています。また、安全でない場所や訪問が不便になったオフィスへの遠隔勤務のために、定期的にオームニロボットを利用しているお客様も多数いらっしゃいます。ヨーロッパのある大手企業では、リモートでの検査にオームニロボットを使用し、エンジニアやメカニックと連絡を取り合って修理の解決策を検討したりしています。

あるユーザーは、オーストラリアの自宅からベトナムのグループにロボットを使ってワークショップを行いました。また、私はForbes Tech Summit 2020のステージで、オームニロボットを使って基調講演を行いました。ステージ上をロボットで移動しながら、聴衆の様子を見たり、反応を聞いたりすることができました。 私たちの技術を使えば、人々は一度に2つの場所にいるような体験をすることができます。

コロナ禍での、ベトナム、アメリカ各海外拠点の社員の管理はどうしていますか?

Slack、Zoom、Google Suiteなどのオンラインツールを定期的に使用していますが、最も重要なのは我々のオームニロボットです。チームの半数がリモートで仕事をしているため、シリコンバレーの本社にいる人と話をするために、いつでもロボットにアクセスできるようにしています。1分もあれば、物理的な距離を越えて遠くのオフィスを動き回ったり、必要な相手を探したり、会議に出席したりすることができます。

コロナ禍での働き方について、国ごとの規制や文化などの違いを感じたことはありますか?そのような多様な状況での管理に苦労したことはありますか?

はい、様々な違いを感じました。パンデミックが始まった当初、例えばベトナムは非常にオープンだったのに対し、アメリカは閉鎖的でした。ベトナムのチームはソフトウェアに力を入れていますが、彼らは自宅で簡単に仕事をすることができました。一方、米国チームは当社の製造を担当しているため、オフィスに出社してくれました。全従業員の安全を確保するため、PPE(個人用保護具)マスクを購入し、あらゆる予防措置を講じました。全員が無事であることを確認するために、より多くのコミュニケーションを取り、オフィスに出社してくれたメンバーには食事の提供も行いました。

御社にとって、リモートワークの利点と欠点を教えて下さい。

当社が分散型組織をとっていることで、地理的な制限なく、優秀な人材を確保することができます。ベトナムではソフトウェア開発、アメリカではロボット工学やハードウェア開発の分野で、最も優秀な人材を採用することができます。現在利用可能な、コミュニケーションツールやその他様々な技術を考えると、このスタイルで仕事をすることのデメリットはほとんどありません。

ニューノーマル時代の働き方はどうなると思いますか?またどのようなワークスタイルを希望していますか?

ほとんどの企業にとって、働き方のダイナミクスはすでに大きく変化しており、今後も大きく変化していくでしょう。これまでなかったことですが、多くのチームでリモートワークが一般的になるでしょう。企業は在宅勤務を可能にし、リモートワーカーの生産性を向上させるために莫大な投資を行うことになるでしょう。重要なのは、同じオフィスにいるのと同じように、人々が互いに応答し、積極的で有意義なインターラクションができる環境を作ることだと私たちは考えています。そして、当社のテレプレゼンス・ロボットでそれを促進することができることを嬉しく思います。

私たちのロボットは、オフィス内を移動したり、同僚を探したり、自然発生的な会話に参加したりする自由と機動性、モビリティを人々に与えてくれます。リモートで仕事をしていて最もなくて残念なのは、会議の外で起こる、非公式でカジュアルなコミュニケーションやつながりです。社会的な生き物である私たちは、話したり、聞いたり、見たり、見られたりすることで生活をしています。

コロナ禍では、新しい活動様式や、コミュニケーションを余儀なくされているため、これまで最適な結果が得られなかった領域において、恒久的な変化が生まれてきます。例えば、テレプレゼンスロボットは以前から存在していましたが、最近になって使う人が増えてきました。

私たちは、日本のロボティクスパートナーと一緒に何が発展していくのかを見ることを楽しみにしています。日本は非常に強い労働倫理を持ち、ロボット技術の確立された素晴らしい国です。パンデミックが日本でのロボット技術の導入を加速させ、経済成長を後押しすると信じています。

御社のお客様はコロナ禍で、どのように働いていますか? オームニロボットを使った例をお聞かせ頂けますか。

コロナ禍で、信じられないようなユースケースがいくつか開発されているのを見てきました。今年5月に行われたロボットによる卒業式(robot graduation ceremony)をご存知の方も多くいらっしゃると思います。東京のビジネス・ブレークスルー大学(BBT)では、当社が開発したロボットを使って、学生がステージを歩いて卒業証書をバーチャルで受け取ることができるようにしました。

医療の分野では、現在30以上の病院で当社のロボットが患者さんのケアに使われています。例えば、iPadを手で持つことができない病人をスタッフや家族がロボットを使って訪問することができます。また、プロのアメリカンフットボールやサッカーチームの間では、地域コミュニティとの繋がりを深めるためにオームニロボットを使用することに大きな関心が寄せられています(例:soccer teams in using Ohmni Robot)。例えば、児童病院や少年、少女のクラブ、その他のコミュニティの場に選手を登場させるためにロボットを使用しています。

その他ユースケースとしては、遠隔パーソナルトレーナーとして使い始めたジムや、バーチャルツアーを提供するアートギャラリーなどがあります。
私たちは現在、あるパートナーと協力して、航空機消毒用のUV消毒ロボットの開発に取り組んでいます。このような利用例はコロナ以前には存在しませんでした。

個人的には、教育に使うのに楽しんいます。ベトナムのVietAIという組織と協力して、ベトナムにいる学生さんにシリコンバレーから機械学習コースの一部を教えることができました。生徒たちと一緒に部屋の中にいるような気分になりました。

ロボティクスと当社のソリューションに対する需要は過去1年間で劇的に増加しており、顧客がビジネス、患者ケア、教育、学習の新しい方法に適応し続けていくにつれ、今後も持続的な成長を予想しています。私たちの多くにとって、パンデミックにもかかわらず、どのような環境であっても安全でリアルな方法でコミュニケーションができることは重要です。